そらあかね2

事業所に来て2日目、絵が描きたいと言う私の我儘なオファーでWACOMのペンタブを買って頂きました。原画を鉛筆でセコセコ描き、イラレでスキャン、トレースして着色するのに慣れっこになって居た為、手元を見ずにディスプレイを見たまま手を動かすのはかなり熟練が必要の様です。タブレットにあたるペン先の感触も思ったよりツルツルして居ます。

 

面接の時、施設長に「何がやりたい?何が出来る?何でここへ来た?」的質問に、しどろもどろになりました。

私は誇りを持って「これが得意です!」と言い切れる物がありません。物造りにこだわって職を転々とした過去が有りますが、壁にブチ当たると逃げ出すクセが付き、挑戦や戦いを避けて来ました。

 

私の後ろの席に居るタバコ仲間・Kさんに昨日、谷川俊太郎の「生きる」と言う詩を教えて貰いました。読んでいて涙が出そうになりました。飾らない簡潔な言葉の羅列、でも無駄なく研ぎ澄まされたナイフの様にするどく私の心を刺しました。真摯な「生き方」を説く一篇の詩と出会いました。

夜になって、本当に久しぶりに鉛筆を握りしめ紙に向かい絵を描きました。半端な筆致、イマジネーションの欠乏を嘆きつつもラフを仕上げました。

スキャンしたペンタブでトレースしてみようと、「今、出来ることは何か」という思いが私を駆り立てたのです。

 

チカラは無いけど、何も出来ないけど、せめて人としての有り方に自身を持てなくては将来が無い様な、そんな焦燥に駆られた夜でした。

 

記し始めたこのブログと1日1点以上のラフ画をこれからの日課に、しばらく頑張ってみようと思います。

もう自分を嫌いたくないです。自分を愛する要因を持つ人の目を見ることが出来ないのは本当に惨めです。

いつ誰と居ても何をして居ても私は寂しくて寂しくて仕方がありませんでした。

自分を充足させるのは周囲ではなく自分である事に今更ながら気付かされました。

 

生きているということ

いま生きているということ

それはのどがかわくということ

木もれ陽がまぶしいということ

ふっと或るメロディを思い出すということ

くしゃみをすること

あなたと手をつなぐこと

 

生きているということ

いま生きているということ

それはミニスカート

それはプラネタリウム

それはヨハン・シュトラウス

それはピカソ

それはアルプス

すべての美しいものに出会うということ

かくされた悪を注意深くこばむこと

 

生きているということ

いま生きているということ

泣けるということ

笑えるということ

怒れるということ

自由ということ

 

生きているということ

いま生きているということ

いま遠くで犬が吠えるということ

いま地球が廻っているということ

いまどこかで産声があがるということ

いまどこかで兵士が傷つくということ

いまぶらんこがゆれているということ

いまいまが過ぎてゆくこと

 

生きているということ

いま生きているということ

鳥ははばたくということ

海はとどろくということ

かたつむりははうということ

人は愛するということ

あなたの手のぬくみ

いのちということ

 

谷川 俊太郎 「生きる」

 

 

 

 

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そらあかね